途中でダレる箇所はあるものの、全体的にはクオリティーの高いドラマ。演技のレベルも低くないし、普通にいい話です。59点(100点満点)
夫のちんぽが入らないのあらすじ
タイトルに偽りはない。衝撃の実話。主人公・久美子は、大学進学を機にオンボロアパートで1人暮らしをすることにした。そこで図々しくも優しい研一に出会う。惹かれ合う2人は、久美子が入学前に付き合うことになった。
同じ学部、同じサークルで1個上の研一とは、授業とアルバイト以外はいつも一緒だった。“入らない”。誰にも入らないことを言えない、ふたり。同じアパートに住んでいることから、サークル仲間からお盛んと茶化されるが、“入らない”。様々なことを挑戦するが、“入らない”が・・・・・・。
結婚をしたふたりは、幸せだった。久美子は山の間の小さな学校で教師になった。平穏な暮らしだったが・・・転任することになった久美子。転任先は、問題児の多い学校、問題のあるクラスの担任になった。
“入らない”ことでジワリジワリとふたりの関係を苦しめていく。久美子、心を病み、車を運転している最中に意識が朦朧とする。崖から落ちそうになり、命の危機を感じたとき、久美子を心配する農夫婦に出会う。そんなふたりに久美子が「“夫のちんぽが入らない”んです」とつぶやく!?“夫のちんぽが入らない” 夫婦の行く末は如何に
FODより
夫のちんぽが入らないのキャスト
- 石橋菜津美
- 中村蒼
- 尾野真千子
- 坂井真紀
- 江口のりこ
- 松尾諭
- 落合モトキ
- 浜野謙太
- 筒井真理子
- 春海四方
- 国広富之
- 千葉雅子
夫のちんぽが入らないの感想と評価
「ふがいない僕は空を見た」や「百万円と苦虫女」などでお馴染みのタナダユキ監督による実話ベースの夫婦ドラマ。こだまの同名小説および漫画の実写化です。
夫と性行為がうまくできない妻、久美子が夫婦にとってセックスとは、愛とは、子供とは何かを考え、奮闘していく様子を描いたリアルなストーリーです。
タイトルに嘘偽りがなく、夫のちんぽが入らないことによって巻き起こる数々の問題をときにはおかしく、ときには悲しく、ときにはシリアスに伝えた上質のドラマでした。
フジテレビが製作したとは思えないほど、ヌードシーンにも果敢に挑戦し、夫婦の性生活を真剣に取り上げた、本気度が伺えるシリーズです。
前半、毛布を被りながらの絡みシーンが映ったときには一瞬こりゃダメだ、と思いましたが、話が進むにつれて本気のベッドシーンはあるわ、変態エピソードはどんどん出てくるわ、そうかと思うとハートフルになったり、悲しくなったり、とエンタメ要素が盛りだくさんでした。
タイトルを思いついた時点ですでに成功してますよね。これだけインパクトのあるタイトルは類を見ないです。登場人物が抱える問題とストーリーそのものをこんなにもストレートに表した題名はほかにないんじゃないですか。
ちなみにこの小説の垂れ幕を建物の外にかけたら、近所から苦情が来て速攻撤去となったそうです。
『夫のちんぽが入らない』の垂れ幕は近隣からの苦情を受けて撤去したそうです。 pic.twitter.com/U1th70qhhb
— 追っかけ漏れ太郎(編集者) (@takaishimasita) 2018年10月5日
物語は、大学進学のために田舎から出てきた久美子と研一が学生の住むボロアパートで出会い、付き合い始めるところから本題に入っていきます。
二人は愛し合おうとするものの久美子の子宮が小さすぎるのか、あるいは研一のが大きすぎるのか最後までできず、やがて特に挿入にこだわらない性生活を続けます。
一つ先輩の研一は久美子より先に教員となり、久美子も後を追うように小学校の教師を目指します。そして問題が解決しないまま二人は両親の反対も押し切って結婚するのでした。性格が合い、まるで兄妹みたいに仲の良い二人ですが、体だけは一向に合いません。
そのせいかある時期から研一は久美子に嘘ついて風俗に通うようになり、久美子もその証拠を見つけてしまいます。
一方の久美子は学校でのストレスや研一の風俗通いに精神を病みだし、ネットで知り合った複数の男と行きずりの関係になっていき、夫婦生活は危機を迎える、というのがあらすじです。
一見、仲良しだった夫婦がセックスレスが原因でお互いに浮気をして家庭が崩壊する、ありきたりな不倫転落劇のようにも見えますが本質は違います。
それよりもむしろ結婚とは何か、夫婦にとっての性行為とは一体どうあるべきか、という世間の固定観念と向き合い、自分たちなりの結論を導き出した夫婦の哲学ドラマといえそうです。
夫も妻も浮気をしているので彼らに嫌悪感を覚え、断罪する人も視聴者の中にはいるでしょう。しかし僕にとっては二人はとてもいい夫婦に見えたし、要所要所に深い優しさを感じましたね。
ソープランドに行き始めた夫を責めるのではなく、ソープランドに向かって「夫のことをどうぞよろしくお願いします」と思える久美子の寛大さ。
すっかり性的な魅力を妻に失っても、常に優しい言葉遣いで接し、久美子が教員を辞めるときも決して止めなかった研一。
性生活はうまく行かなくともお互いがお互いを気遣う気持ちが残っているなら、それだけでも十分すぎるほどのいい夫婦関係だと思いました。
世間の求める完璧な貞節とか、夫婦像に囚われずに自分たちにとって「性と愛は関係ない」と言い切れる二人は立派ですよ。
日本社会特有のあるあるエピソードが満載で、特にお互いの両親からの子供作れ圧力が見ていられませんでした。息子や娘の夫婦関係に口だしする両親ってマジなんなの?って思うし、実際にまた日本にはそういう親がうじゃうじゃいるからなぁ。
これだけライフスタイルの多様化が進んでもいまだに子供のいる夫婦=幸せ、子供のいない夫婦=不幸みたいな考え方しかできない人間が存在するっていうのが不思議でなりませんね。
また、そんな両親の考えがまた性行為のできない久美子と研一を悩ませます。もとをたどれば夫のちんぽが入らないことが全ての問題の根源だと久美子が思ってしまうのはごもっともで、「まあしょうがないか」では済ませられずに問題を自ら深刻化させてしまう条件と環境が揃っていました。
ストーリーだけでなく俳優陣も全体的によかったですね。ヒロインの石橋菜津美は脱ぐことも辞さず、自分の意見をうまく伝えられない内気な女性を上手く演じていたと思います。
すごいなあ、と思ったのは久美子の母親役の筒井真理子のパフォーマンスですね。いちいちいらんことを言う口うるさいお母さんキャラがぴったりで、まるで自分の母親を見ているようになってはいたたまれなくなりました。
わざとらしい家族愛に包まれた話にせず、久美子は母親が嫌いで、母親も久美子のことが嫌い、といった関係性もまたリアルですよね。
また、テーマとなっている「挿入できない問題」は、笑い話のように伝えられているけど、実際、体が合わなくて最後までできない人って結構いると思いますよ。
僕にもそういう経験があって、ある女性とはセックスの度にジェルやローションを使わないと全くうんともすんとも中に入っていかなくて苦労した思い出があります。
必死に入れよう入れようとすると男はそんな自分に興ざめしてしまい、やがて萎えてきちゃうし、したくてもできない歯がゆさは男女ともになんともいえない後味の悪さを残しますよね。それで関係がこじれることも多々あるだろうし。
また、僕の女友達の中にも子宮がもともと小さくてローションをぬろうが何をしようが痛くて入らない、という人もいました。
その女性は挿入できないことがトラウマになってセックス自体が好きじゃないって言ってましたが、どうしてもやりたがる相手とは仕方なくアナルセックスをするんだそうです。いろんな人がいるよなぁ。
ちなみにそんな話を僕から質問したわけでもないのに彼女は居酒屋の飲みの席で自分からカミングアウトしていました。
このドラマもそうだけど、ちんぽが入らないときは深刻にならず、むしろ自分からどんどん言っていくぐらいのほうが健康的なのかもしれません。