内容の8割がラブシーンとライブシーンで構成されているという珍しい映画で、エロくもあり、ドラマチックでもあり、ノスタルジーを感じさせてくれる芸術作品。62点(100点満点)
ナイン・ソングスのあらすじ
雪に閉ざされた北極の地で、マット(キーラン・オブライアン)はロンドンで出会ったアメリカ人学生のリサ(マルゴ・スティリー)のことを想っていた。ブラック・レーベル・モーターサイクルのライブで出会った2人は恋に落ち、何度も身体を重ね合わせていた。
(シネマトゥデイより)
ナイン・ソングスの感想
「いとしきエブリデイ」、「Genova」などで知られるちょっといい映画ばかり撮るマイケル・ウィンターボトム監督による恋愛ドラマ。
主人公マットの目線で昔を回想しながら話が進んでいく、悪く言えば恋人がいちゃいちゃしているところをただ見せ付けられるだけの映画で、良く言えば美しい思い出を綴った記録映画です。
恋人とのことで記憶に残っているのは性愛とライブの思い出だけというのが正直でいいですねえ。そういえばあそこであんなことしたよなぁとか、そういえばあいつベッドの上であんなセリフ言ってたっけ、今思うと恥ずかしいぃ、なんてことを思い出すのは万国共通なんでしょう。
男女の付き合いなんて所詮そんなもんだ、とこの映画に言われてる気にもなりました。この映画のカップルは一緒にいればセックスばかりして相思相愛な雰囲気を醸し出す一方で、どこか女の方が少し冷静のような、遊びではないけどそれほど本気にもなってないようなズル賢さがあるのがリアルでした。
完全に彼女が主導権を握っていて、さらっと男を置いてアメリカに帰ってしまうところなんかやっぱりな、という感じがしました。
マットが振られたことで、後々失いたくなかった美しい思い出に浸ることで自分を癒しているのかなあとも思いました。
これがリサの目線の映画だったらまず成り立たなかったでしょう。リサはアメリカでよろしくやっててまずそれどころじゃないからね。
ただ、フェラチオのシーンとクンニのシーンの比率が1対9ぐらいで男からするとかなり不公平ではありましたね。それを思うと、これは男目線でありながら実は女向きの映画なんだな、という結論に至りました。